知っているようで知らない! 訪問マナーのアレコレ
親戚の家や、目上の方のお宅への訪問。きちんとマナーのある行動ができていますか? いくら着物姿が美しくても、マナーが守れていないと印象が台無しになることも……。着物姿をより美しく見せるためにも、訪問マナーを守った立ち居振る舞いを意識しましょう。
そこで今回は、いざというときに困らないための訪問マナーについてご紹介。玄関先でのマナーはもちろん、部屋に通されたあとのマナーまで、気になる訪問マナーの基本についてお話をしていきます。普段から着物を着る、着ないに関わらず、ぜひ参考にしてください。
訪問するまでに必要な準備とは?
訪問先の相手にとって失礼のない対応をするためには、事前の準備が大切。訪問先に伺う前から訪問マナーは、始まっているのです。ここでは、訪問前の準備におけるマナーについてご紹介をしていきます。
相手に確認を取ってから訪問を
「親しき仲にも礼儀あり」ということわざがあるように、いくら仲の良い相手の家に訪問する場合でも、アポイントは必要です。急な訪問は、相手の迷惑になってしまいます。
忙しいタイミングや、部屋が散らかっているときにお客さんを家の中に招くのは、誰にとっても嫌なもの。事前に都合の良い日時を確認してから、訪問するようにしましょう。その際こちらの希望を押し付けるのではなく、相手の都合に配慮するように。
また、一緒に食事をするのが目的など、相手の希望がある場合は別として、食事の時間帯の訪問は避けるのがマナー。10時~11時、14時~16時辺りが訪問時間帯の目安です。
手土産を用意する
アポイントを取った際に、相手から「お気遣いなく」と言われた場合でも、手土産を持参するのが訪問時のマナーです。食べて無くなるような、消え物がベター。相手の好みに応じたものを選ぶのが良いですが、好みが不明な場合は生花を選ぶのも良いでしょう。家族構成を考慮したものを渡すと喜ばれます。
また、高価すぎる手土産は逆に気を使わせてしまうので、ほどほどに。訪問先の近所で購入するのも、手を抜いた印象を与えてしまうため避けるべきです。相手のことを考え、選んだものを手土産として持参しましょう。
訪問当日のマナー【玄関先】
ここからは、訪問当日のマナーをチェック。まずは、玄関先でのマナーです。訪問するタイミングや、靴を脱ぐのにもマナーがあります。
初めてお会いするような場合であれば、第一印象を決める場にもなるでしょう。気付かないうちにマナー違反をしていた、ということが無いようにさっそくどんなマナーがあるのか見ていきましょう。
早すぎる到着は、NG
「普段から5分前行動を心掛けている」など、日ごろ少し早めの行動を意識している人も多いと思います。しかし、相手先の家に訪問するときのマナーとしてはNG。訪問先の相手があなたを出迎える準備を整えている最中、という可能性もあります。
相手が慌てることのないように、予定していた時刻よりも5分ほど遅い時間に到着するようにするのがマナー。ただし、予定よりも10分以上遅れる場合は、必ず連絡をするのも忘れずに。
コート類は事前に脱いでおく
着物の上からショールや和装コートなどアウターを着ている場合は、チャイムを鳴らす前に脱いでおくのがマナーです。着物でなく、洋服を着ている場合も同じ。その際、コート類はほこりなどを室内に持ち込まないよう中表にして畳みます。マフラーや手袋なども同様に、外してから訪問しましょう。
また、昨今は「お上がりください」と言われてから脱ぐ、欧米式のマナーも浸透していきています。どちらも間違ったマナーではないですが、昔ながらのマナーを重んじる家庭などへ訪問する場合は、前述したマナーで対応するとスマートな印象に映ります。臨機応変に対応していきましょう。
玄関先で軽くあいさつを
玄関に入ったら、まずは軽くあいさつを済ませます。ただし、しっかりとあいさつをするのは部屋に通されてから。あくまでも簡単なあいさつで済ませましょう。
またその際、早めに冷蔵や冷凍をした方が良い手土産を持ってきている場合は、その旨を伝え玄関で手土産を渡しましょう。それ以外のものを手土産としている場合は、部屋に通されてから渡すのがマナーです。
履物の脱ぎ方にもマナーがある
玄関で履物を脱ぐ際は、正面を向いた状態で脱いでからそろえます。後ろ向きで脱ぐとそろえるのは簡単ですが、マナー的にはナンセンスです。履物を脱ぎ終わって履物をそろえるときに、お尻が相手に向かないようにするのも忘れずに。
また、着物の場合は草履なので簡単に脱ぐことができますが、洋服の場合は注意が必要です。長さのあるブーツなど、脱ぐのに時間がかかるような靴は訪問時には避けるべき。スムーズに脱ぎ履きできる靴を選択するようにしましょう。
ストッキングや靴下の用意を
着物の場合は足袋を履いていることがほとんどだと思いますが、洋服の場合は素足に靴を履く場面もあるかもしれませんね。夏場などは涼しいですが、素足で訪問先を訪れるのはNGマナー。必ず、ストッキングや靴下などを履いた状態で訪問するようにしましょう。
訪問当日のマナー【部屋】
ここまでは、玄関に上がるまでのマナーでしたが、お部屋に通されてからも覚えておきたいマナーがあります。手土産をどうやって渡せばいいのか、部屋に通されてからどこに座れば良いのかなど、訪問時に疑問が浮かびやすいマナーを中心にご紹介していきます。
手土産は紙袋から出して渡す
持ってきた手土産は、紙袋や風呂敷から出しておくのがマナー。紙袋や風呂敷には、ホコリ除けの意味があるので、そのまま渡すのは失礼になります。手土産を入れていた紙袋や風呂敷は、そのまま持ち帰りましょう。
また、手土産を渡すときに一言添えるのも忘れずに。「つまらないものですが」という言葉は、あまり良い印象を相手に与えません。「お好きなものだと聞いたので…」「お口に合うと良いのですが…」などといった言葉を添えて手渡します。
和室ならではのマナーも多い
畳のヘリや敷居を踏まないように歩くなど、和室ならではのマナーも多いです。また、襖の開け方や座布団への座り方など慣れていないと、どうしたらいいのかわからないものも多いでしょう。
「着物姿が決まる!覚えておきたい和室マナーとは?」では、そういった和室のマナーについて紹介しています。今回ご紹介した訪問時のマナーと合わせて参考にしてください。
和室、洋室ともに下座に座る
部屋では、「どうぞお座りください」と声を掛けられてから座るようにしましょう。和室、洋室ともに、座る位置を指定されなかった場合は下座に座るのが基本です。知らず知らずの内に上座に座ってしまうことのないようにしてください。基本的に、出入りから一番近い場所にある席が下座、遠い場所にある席が上座です。
着物の立ち居振る舞いも意識して!
今回は、相手のお宅を訪問する際に気を付けたい、マナーについてご紹介しました。訪問先ではつい緊張してしまうもの。しかし、相手の立場に立って対応すれば、空気を台無しにしてしまうこともないでしょう。
着物で訪問する際は、マナーはもちろん立ち居振る舞いも意識したい部分です。立つ、座る、お礼をするなど、ちょっとした動作も少し意識することで、着物姿をより引き立ててくれます。訪問時には、マナーや立ち居振る舞いを意識して、楽しい時間を過ごしてくださいね。