着物の基礎知識

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「染め」と「織り」の違いって?着物の種類を徹底解説

着物の基礎知識

「染めの着物」「織りの着物」という言葉を聞いたことがありますか? 実は、着物はその製作過程から「染め」と「織り」の2種類に大別することができます。これまで当ブログで何度も登場してきた訪問着や振袖、紬といった着物も「染め」または「織り」のいずれかに該当するんですよ。

そこで今回は、着物の「染め」と「織り」についてお話をしていきます。染めと織りについて知ることは、フォーマルな着物とカジュアルな着物を区別するのにも役立ちますよ。

染めと織り

着物に関心のある人であれば、「染め」や「織り」といった言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。着物は大きく分けると「染め」と「織り」の2種類に分けることができます。ここからは、2種類の違いについてご紹介をしていきます。

染めの着物とは?

糸を染めずに白布を織り、その布に色や柄を染めていくことで模様を付けていくのが、染めの着物です。織ったあとで、染めていくため「あと染め」と呼ばれることもあります。

染めの着物は織りの着物よりも格が高いのが特徴です。留袖、訪問着、色無地、付け下げ、色無地、小紋は全て、染めの着物に分類されます。フォーマルから普段身に着ける着物まで幅広い種類の着物が染めの着物に分類されているのがわかりますね。

織りの着物とは?

織りの着物は、染めの着物とは逆に、糸を染めてから織りあげる着物のことを指します。先に染めてから織っていくため「先染め」と言われることもあります。

また、織りの着物は染めの着物よりも格が下がり、紬や木綿、麻などカジュアルなシーンで活躍する着物が多いのが特徴。ちょっとしたお出かけやショッピング、旅行などに着て行くときに重宝しますよ。

帯は織りと染めの格が逆

着物では、織りの着物よりも染めの着物の方が格が上とされていますが、帯の場合は逆。染めの帯よりも、織りの帯の方が格が上です。織りの着物の方が豪華なものが多く、染めの着物と合わせたときにより華やかなコーディネートになります。

帯と着物の格の違いについては、着物初心者が混乱しがちな部分なので注意しましょう。着物は「染め」、帯は「織り」の方が格が上と覚えておきたいですね。

着物と帯の合わせ方

では、染の着物と織りの着物、染の帯と織の着物、これらをどのように合わせていけばいいのでしょうか? 着物と帯の合わせ方は、「振袖と留袖の違いって?知っておきたい着物の種類」でも触れていますが、着物の格によって合わせる帯が異なります。

ここでは、染めと織り、それぞれの着物と帯を合わせたイメージをご紹介していきます。フォーマルな場面では、着物と帯の格合わせが大切です。どの着物にどの帯を合わせたらいいのかは、「振袖と留袖の違いって?知っておきたい着物の種類」でご確認ください。

フォーマルな場面で着る場合は、「染めの着物」と「織の帯」を合わせるのが基本。金糸や銀糸で織られた豪華な帯が、格をあげてくれます。「染めの着物」に「染めの帯」を合わせると、華やかな仕上がりのコーディネートになります。

一方、カジュアルシーンでの装いでは、「織の着物」に「染めの帯」を合わせるのが基本です。「織の着物」に「織の帯」を合わせると、個性的な印象のコーディネートに仕上がりますよ。

全国各地の染めの着物と織の着物

染めの着物と織の着物は、全国各地で独自の製法が受け継がれています。「京友禅」や「大島紬」など、着物好きなら一度は聞いたことがある着物も多いですよね。

ここでは、具体的にどんな着物があるのか見ていきましょう。代表的な染めの着物と織りの着物についてご紹介をしていきます。

染めの着物

ひとえに染めの着物といっても、友禅染めや絞り染め、ろうけつ染め、型染めなどさまざまなものがあります。とくに、「京友禅」や「加賀友禅」といった友禅染めは、普段着物に馴染みが無い人でも一度は聞いたことがある着物の種類でしょう。

 

京友禅は、京都の宮崎友禅斎(みやざきゆうぜんさい)が生み出したとされる染めの着物。古典柄を使った華やかなデザインに、刺繍や金箔の装飾が施されています。1976年には、国の伝統的工芸品に指定されるなど、国を代表する着物の一つです。

 

臙脂(えんじ)、藍、黄土、草、古代紫の5色を五彩といい、加賀友禅はこの5彩を基本に染められます。京友禅と同じ友禅染めですが、刺繍や金箔といった装飾を施すことが少ないのが特徴です。「外ぼかし」や「虫喰い」といった独特の技法が用いられます。

 

愛知県有松地方で受け継がれる、絞り染めの技法。さまざまな方法で布を括っていき、模様を作り上げます。鹿の斑点のような「鹿の子絞り」は、有松絞りの代表的な絞りの種類の一つ。約100種類もの絞り技法があります。

 

琉球紅型(りゅうきゅうびんがた)は、沖縄で受け継がれている染め物。さまざまな色を使う紅型と藍色一色の藍型があります。型紙で染める方法の他に、筒引きという手で模様を描いていく技法があります。

 

江戸小紋は、遠くから見ると無地に見える程、細かい模様が繰り返し描かれているのが特徴の着物です。ひとえに江戸小紋といっても、鮫の肌のような見た目をした「鮫」や、大小さまざまな点が描かれた「霰」など、多様な種類のデザインがあります。

織りの着物

織りの着物の代表格といえば、紬ですね。「大島紬」や「結城紬」といった高価な紬の着物は、着物好き憧れの着物として知られています。非常に高価なものもありますが、フォーマルな場面で身に着けるのはマナー的にNG。あくまでもカジュアルシーンで身に着ける着物と覚えておきましょう。

 

1300年の歴史を持つ、鹿児島県奄美大島の織物。泥を使って糸を染めていく、「泥染め」が特徴です。フランスのゴブラン織り、トルコやイランのペルシャ絨毯と合わせて世界三大織物の一つに数えられています。

 

結城紬は、茨城県結城地方でつくられる絹織物。紬織物の元になった織物とされています。1956年に国の重要無形文化財に指定されるなど、国を代表する織物の一つです。

 

ユネスコ無形文化遺産にも登録されている、新潟県を原産とする織物。苧麻(ちょま)というイラクサ科の植物の繊維を用いて糸を作るのが特徴です。生産量が非常に少なく、幻の布とも呼ばれています。

 

久留米絣(くるめがすり)は、福岡県久留米でつくられる絣で、1956年に国の無形文化財に指定されました。江戸時代に井上伝という12歳の少女が生み出したとされています。

 

黄八丈(きはちじょう)は、東京都八丈島で受け継がれる織物。室町時代には既に作られていたと言われています。黄、鳶、黒の3色を用いて縞や格子を織り込んでいるのが特徴です。八丈島という名前の由来になったとも言われています。

コーディネートを考えるときに役立つ着物の分類方法

今回ご紹介した、織りと染めといった分類方法以外にもさまざまな分類がある着物。「袷」「単衣」「夏物」といった季節別の分類方法、「振袖」「留袖」などデザインやTPOに合わせた分類も。どれも着物を着る上で知っておきたい知識です。

とくに今回ご紹介した、着物は染めがフォーマルなのに対し、帯は織りの方がフォーマルというのは覚えておきたい知識ですね。どれが織りの着物で、どれが染めの着物なのか分かるようになると、コーディネートを考えるのもさらに楽しくなりますよ。

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