着物でおでかけ!食事をするときの「立ち居振る舞い」と「マナー」
結婚式やパーティー、友人とのランチなど、着物を着て食事をする場面というのは意外と多いものです。そこで今回ご紹介するのは、着物で食事をするときに意識したい「立ち居振る舞い方」と「マナー」。
食事をするときの基本的なマナーに加え、着物ならではの立ち居振る舞いを習得することで、よりスマートに着物でのお出かけを楽しめるようになるでしょう。食事中の立ち居振る舞い方は、着崩れ防止や着物の汚れを避けるためにも、知っておきたい着物のマナーのひとつですよ。
洋食・和食の基本テーブルマナーをおさらい!
着物の立ち居振る舞い方を学ぶ前に、まずは、洋食・和食の基本のテーブルマナーをおさらいしておきましょう。着物を着て食事をする機会は、カジュアルシーンだけでなく、結婚式やパーティーなどのフォーマルシーンということも多いです。
いくら着物の着こなしが素敵でもテーブルマナーができていないと、真の着物美人とは言えません。知っている人はもちろん知らない人も、この機会にあらためて基本のテーブルマナーをチェックしていきましょう。
洋食
ナイフとフォークを使う洋食料理では、独自のマナーやルールがあります。結婚式の披露宴や高級レストランの食事では、いくつものナイフとフォークがテーブルに並べられていることがありますが、外側から順に使っていくのがマナーです。
また、ナイフとフォークはハの字に置くと食べている途中、そろえると食べ終わったサインなのでこちらも覚えておきましょう。
これは洋食に限った話ではありませんが、食器の音を立てないようにするのは基本。口に食べ物が入っている間に話したり、咀嚼音をたてたりするなど、周りの人が不快な思いをしてしまう行為は避けましょう。
和食
和食で注意したいのが、箸のマナー。正しく持つというのは基本ですが、このほかにも食材に箸を刺す「刺し箸」や箸をなめる「ねぶり箸」、お皿の上に箸を置く「渡し箸」などNGとされるマナーはたくさんあります。
これらのなかには、普段の生活で何気なくやってしまっているものもあるのであらためて意識してはいかがでしょうか。
また、実は手をお皿のようにして食べる「手皿」はマナー違反のひとつ。器を持ち上げたり、懐紙(後ほど詳しく説明します)を使い、品よく食べるようにしましょう。
お出かけシーンに合わせた着物を着て行く!
食事をするときの着物マナーの“基本のき”と言えるのが、お出かけシーンに合わせた着物の選択です。
たとえば、親族として出席する結婚式であれば留袖や振袖、訪問着などが相応しいですが、友人として出席する結婚式では、振袖や訪問着のほか、付け下げや色無地を着て行くこともあります。
さらに、友人とのカジュアルな食事会では小紋、ビアガーデンでは浴衣といったように、着て行くシーンによって相応しいとされる着物が違うので着物を選ぶときは意識するようにしましょう。
着物初心者にとっては、ややこしい着物のマナーのひとつですが、格による着物の違いがわかると、お出かけ前の着物選びがさらに楽しくなるので、この機会に今一度意識をしてみてくださいね。
着物で食事をするときに持っていきたい!便利な持ち物リスト
着物で食事をするときは、持ち物にもひと工夫。少しアイテムを増やすだけで、よりスマートに着物での食事を楽しめますよ。ここでは着物着て食事をするときに持っていきたい持ち物をご紹介します。食事をするときに限らず便利なものもあるので、着物を着る機会がある人はチェックしてくださいね。
・ハンカチ
食事中はナプキンを膝に置くという人も多いと思いますが、カジュアルなレストランなどではナプキンが置かれていない場合も…。そんなときに、ハンカチをナプキンの代わりとして利用すれば、万が一食べこぼしをしたときも安心です。
・ナプキンクリップ
「大切な着物を汚したくない!」「食べこぼすことが多い」という人におすすめなのが、ナプキンクリップ。袂クリップやハンカチクリップなどの名称で呼ばれることもあります。
両端にクリップがついた紐状のアイテムで、クリップにハンカチやナプキンを挟み、着物の衿にかけるようにして使います。こうすることで万が一食べこぼしたときに着物を守ることができるのです。(※ナプキンクリップのマナーについては、「食事中のポイントその1.ナプキンの使い方」で言及しています。)
・懐紙
受け皿としての代わりや口元の汚れを出すときに使えるのが「懐紙」。魚の小骨を出すときに口もとを隠すために使うこともあります。食事の場以外にも、メモや包み紙などさまざまな場で使えるアイテムなので、ひとつ持っておくと便利でしょう。
着物で食事をするときの立ち居振る舞い! 気を付けたいポイント
食事をするときは、着物を着ているからこそ気を付けたいポイントがいくつかあります。食事中の美しい立ち居振る舞いは、着物の汚れを防ぐという意味でとても重要なポイントです。また、よりスマートに着物を着こなすためにも大切なことなので、しっかりとチェックしていってください。
食事中のポイントその1.ナプキンの使い方
ナプキンは基本的に、膝にかけたり、帯に挟むのがマナーとされています。襟もとにナプキンをかけるのはマナー違反とされる場合もあるので、一緒に食事をする相手やシーンに合わせて選択しましょう。同様の理由で、ナプキンクリップもTPOに合わせて使うのがベターです。
食事中のポイントその2.帯をきつく締めすぎない
帯をきつく締めすぎると、ご飯を食べたあとに苦しくなってしまう…ということも十分考えられます。とはいえ逆にゆるくしすぎると、着崩れの原因となってしまうので、きつすぎず・ゆるすぎない着付けを目指しましょう。
食事中のポイントその3.帯を潰さないように座る
椅子の背もたれに寄りかかるようにして座ると、せっかくの綺麗な帯がつぶれてしまいます。椅子に座るときは、浅く腰かけるようにし、背もたれに帯が付かないようにしましょう。
食事中のポイントその4.袖をおさえる
食事中に遠くのものを取るときは、必ず反対の手で袖をおさえることを忘れずに。着物は洋服に比べると袖が長いですから、気づかないうちに袖がテーブルの食事で汚れてしまうということがあります。袖をおさえながらものを取ることで、スマートな動作になります。
万が一着物が汚れてしまったときはどうすればいい?
いくら気を付けていても、食べこぼしがおこってしまうことはあります。まずは慌てずに、ハンカチなどで軽くおさえます。ここで注意したいのが、汚れを取ろうとして無暗に擦らないこと。擦ると着物の生地が傷ついてしまったり、場合によっては汚れが広がったりするので、最低限の処置に留めておきましょう。
自宅で洗える着物であればそのまま洗えば良いですが、高級な着物など自宅で洗えない着物の場合は、着物専門のクリーニング店に持ち込みましょう。時間がたつほど汚れが落ちにくくなるので、できるだけ早いタイミングで持ちこむのが肝心です。
食事中もスマートな立ち居振る舞いをして、着物美人を目指そう!
今回は、着物で食事をするときに気を付けたい立ち居振る舞いやマナーについてご紹介しました。着物を着て食事をするときは、食事のマナーに加え着物の立ち居振る舞いを意識することで、よりスマートに食事を楽しめます。
マナーや立ち居振る舞いを知ることは、着物の楽しみのひとつでもあります。最初の内は、あれはどうだっけ?と悩むこともあると思いますが、お出かけを重ねるごとに着物での立ち居振る舞いも自然になるはず。お気に入りの着物を着て、食事を楽しんでくださいね。